2012年6月17日 « トップへ » 2012年6月21日
2012年6月19日
新井矯正歯科院長/新井茂
【経歴】
東京都立立川高等学校 卒
1979年 国立東京医科歯科大学 卒
1979年~1985年 国立東京医科歯科大学第一矯正学教室 在籍
1985年 当地に新井矯正歯科 開業
【資格】
日本矯正歯科学会 専門医
日本矯正歯科学会 認定医
【所属学会】
日本矯正歯科学会
東京矯正歯科学会
日本臨床矯正歯科医会
日本顎変形症学会
日本口蓋裂学会
口腔病学会
新井矯正歯科
http://www.arai-kyousei.jp/
今井矯正歯科院長/今井裕三
【経歴】
東京医科歯科大学歯学部 卒
同大学院(歯科矯正学専攻) 卒
その後、同大学付属病院矯正科、及び関東逓信病院(現NTT東日本関東病院)の歯科矯正部を経て、江戸川区船堀に今井矯正歯科開設。現在に至る。
【資格】
日本矯正歯科学会 認定医
日本成人矯正歯科学会 認定医
歯学博士
【所属学会】
日本矯正歯科学会
日本臨床矯正歯科医会
WFO(World Federation of Orthodontists)
日本成人矯正歯科学会
東京矯正歯科学会
日本口蓋裂学会
日本先天異常学会
日本顎変形症学会
日本歯科医師会
東京都歯科医師会
江戸川区歯科医師会
今井矯正歯科
http://www.imai-ortho.com/
前田矯正歯科クリニック院長/前田眞琴
【経歴】
1973年 栄光学園 卒(21期生)
1979年 東京医科歯科大学歯学部 卒業(学27回)
1979年 東京医科歯科大学歯学部矯正学教室
1981年 東京医科歯科大学歯学部矯正科卒後研修課程修了
1985年 ポーセレンライナーの開発に携わる
1988年 診療に従事する傍ら、口腔内の接着に関する研究で歯学博士号
1988年 港南台駅前にて開業
港南区歯科医師会理事、新横浜歯科衛生士学院講師、日本臨床矯正歯科医会理事、日野南小学校PTA会長などを歴任
日本矯正歯科学会認定医、指導医取得
2004年 日本臨床矯正歯科医会神奈川支部 市民セミナーを立ち上げる
2005年~2007年 日本臨床矯正歯科医会神奈川支部長
2006年 日本矯正歯科学会専門医取得
【所属学会】
日本矯正歯科学会、顎関節学会、顎変形症学会、接着歯学会等
【所属医師会】
日本歯科医師会、日本臨床矯正歯科医会、アメリカ矯正歯科医会(AAO)
【最近の講演】
2009年03月11日
横浜港南歯科医師会学校歯科医研修会「学校歯科検診で注意したい不正咬合」
2007年11月05日
日本臨床矯正歯科医会大会(宇都宮開催)臨床セミナー「成人II級High Angle症例に対するImplant Anchorの応用」
2007年01月25日
鹿児島歯科矯正研究会「インプラントアンカーを用いた矯正治療の診断と実際」
2006年11月08日
東京矯正歯科学会秋季セミナー「インプラントアンカーによる診断の変化」
前田矯正歯科クリニック
http://www.maeda-clinic.or.jp/
治療の時期と期間・流れ
治療時期について
早期治療の利点
早く治した方がよい不正咬合
受け口・出っ歯・顔のゆがみ
治療期間と流れ
央歯科・矯正歯科院長/下向保子
【経歴】
1974年 国立東京医科歯科大学歯学部 卒業
1974~1977年 国立東京医科歯科大学第一口腔外科在籍
1977~1981年 国立東京医科歯科大学第一矯正歯科在籍
1981~1983年 国立東京医科歯科大学第二矯正歯科在籍
1983年 央歯科・矯正歯科開設
1983~1995年 日本矯正歯科学会 認定医
矯正歯科臨床経験 約30年
【所属学会】
日本矯正歯科学会
東京矯正歯科学会
日本臨床矯正歯科医会
日本口蓋裂学会
央歯科・矯正歯科
http://www.oh-dc.com/
あなたの歯並びをチェック!
よくあるご質問
矯正治療をして良かったことを教えてください
矯正治療中に、どのようなことを負担に感じますか?
なぜ歯は動くのですか?
痛みの原因
「抜歯」について
治療中の虫歯予防はどうしたらよいでしょうか?
目立たない装置について教えてください
良く噛まない子は不正咬合になりますか?噛むことの効果を教えてください
歯並びが綺麗なら良いのでしょうか?
Q.矯正治療をして良かったことを教えてください。
【答】
矯正治療を終えた方の感想は、私たちに「矯正治療の真値」を教えてくれます。以下にアンケート結果(*1)を列挙いたします。
1. 思いきり笑える
「笑顔に自信が持もてるようになった。」「人前で歯を見せて笑えるようになった。」「口元や顔つきが綺麗になったと言われて嬉しい。」
お口元のコンプレックスが解消されると明るくなり自信を取り戻していきます。メンタル面のプラス効果はかなり大きいようです。
笑うとき、手でお口元を隠すことはなくなります。綺麗な歯並びで、美しいスマイルは、男女を問わず、人間関係を良くすることでしょう。
2. 歯のお手入れが楽になった
「歯磨きがしやすくなった。」「歯磨きのとき、歯肉の腫れ、出血がなくなった。」
このような感想は、デコボコの歯並びや出っ歯の方から多く寄せられています。
デコボコの歯並びは複雑な形をしているため、歯磨きをしても磨き残しがあります。治療後はキレイに整っているのでブラッシングが楽になります。
一方、上顎前突の人は歯が出っ張っているために口が上手く閉じられず、歯肉が乾燥して炎症を起こすと腫れてしまいます。治療後は、口が閉じられるようになるので、歯肉の炎症や出血がなくなります。
3. 口腔に関する意識が向上
「子どもの歯・歯肉の健康に対する関心が高くなった。」
多くのご家族からいただいた感想です。治療前に歯磨き指導を行うことで、口腔ケアが習慣化していきます。お子さまのお口への関心が高まり、歯の寿命を延ばすことにも繋がるでしょう。
4. 咀嚼機能の改善、向上
「噛みやすくなった。」「食べやすくなった。」「発音が良くなった。」
このような感想は、前歯が噛み合わない「開咬」や、下顎が前に突き出ている「反対咬合」を治療した方から多く寄せられました。また、デコボコの歯並びや出っ歯(上顎前突)を治療した方の咀嚼能率も向上しています。
5. お口元の形の改善
矯正治療を行うと、歯を動かすと歯槽骨部分(歯肉として見える部分)の位置や形態が変わります。たとえば、上顎前突(出っ歯)の場合、矯正治療をすれば突出している歯肉の部分も後退させることができ、上唇が引っ込み、美しいお口元になります。それと同時に口唇を閉じる際、筋肉が異常に緊張することがなくなりますので、楽に閉鎖ができるようになります。
下顎前突(受け口)の場合も、下顎前歯を後退させて上顎前歯を前進させることによって、下唇の突出感が減少し、お口元の感じもかなり変わります。また、歯で唇を押し上げていたのが、治療によってお口元がすっきりします。
このように、矯正治療は歯を移動させて形態を整え、咀嚼機能を回復させると同時に、口腔周囲筋の機能も回復させることができます。その結果、お口元を中心に顔貌が美しくなります。
*1
日本臨床矯正歯科医会神奈川支部で、1994年に術後の患者さんと保護者の方に行ったアンケート。
回答数は413名。
Q.矯正治療中に、どのようなことを負担に感じますか?
【答】
矯正治療中に負担に感じたことを、治療後の患者さんのアンケートで見てみましょう。
1. 痛みが伴う
歯を移動するとき、2~3日は歯肉の中が痛くなります。また、装置に慣れるまでの約1ヶ月は強い違和感や、頬や唇の裏側がこすれて痛むことがあります。
2. 人目が気になる
前歯などに装着した装置やワイヤーが目立つため、人によっては「人目」を気にする方もいます。最近では見えない・目立ちにくい装置も増えてきました。どうしても気になる方は、そうしたタイプを選択すると良いでしょう。
3. 治療期間が長い
一般的な治療期間は2~3年と長く、月に一度、定期的に通院して装置を調整しなければなりません。根気が必要な治療といえるでしょう。
4. 歯の手入れが大変
装置を着けた後は、歯に汚れが付きやすくなります。ブラッシングが不十分ですと、虫歯や歯肉炎になる可能性が高くなりますので、時間をかけて丁寧な歯磨きが必要です。
5. 口腔内や口腔外に着脱式の装置などが大変
着脱式の装置を装着する必要があるときは、本人の努力なくしては良好な結果は得られません。
矯正治療では、歯並びと噛み合わせを改善し、さらには美しい口元とバランスの取れた顔立ちをもたらします。しかし、それらは決して自動的に改善されるのではありません。痛みやお手入れの煩わしさなどの負担やリスクが伴うことも事実です。それらを理解し、ご本人が努力することで得られる結果といえます。
Q.なぜ歯は動くのですか?
【答】
矯正治療では、どのようにして歯を動かすのでしょうか?
歯は動かないものと思われている方が多いかもしれませんが、実は、力を加えて位置をずらすことができるのです。
歯は、電球がソケットに入るような形で骨に植わっているのですが、歯と骨とは直接くっついているのではなく、「歯根膜」という繊維組織を介して接しているのです。そこに、歯の外から力を加えますと、一方の歯根膜はつぶされ、他方は引き伸ばされます。つぶされた方では、骨を溶かす細胞(破骨細胞)が出現し、骨が削り取られてゆきます。
一方、引き伸ばされた方では、骨芽細胞が出現し、骨を添加してゆきます。このように、力の加わる前方の骨がなくなり、後方に造られてゆきますので、歯が植わっている「ソケット」の位置がずれ、その結果、歯の位置が変わるわけです。
矯正治療というのは、装置によってこの骨変化を繰り返し起こさせ、目的とする位置まで歯を動かしてゆく処置なのです。
Q.痛みの原因
【答】
「矯正治療は痛い」、とよく言われますが、全く痛みを伴わずに矯正治療をするのは、今のところ困難です。痛みを軽減する方法の研究は色々な方向から行なわれていて、薬の内服が今のところ主流ですが、胃腸障害を引き起こすことも少数ながらあるため、遠赤外線照射やソフトレーザーの利用なども研究されつつあります。
実際の痛みは、調節後の2、3日がピークで、期間はせいぜい一週間です。歯を噛み合わせた時の痛みが主で、絶えず痛いわけではありませし、我慢できる範囲と思います。
では、なぜ痛みを伴うのでしょうか。
これは、歯の移動のメカニズムに関係しています。
歯は、歯根膜という繊維組織を介して骨と接しているのですが、外から力を加えますと、行く手の歯根膜は圧迫されます。その刺激によって破骨細胞が誘導され、行く手の骨を溶かすので、歯が移動できます。しかし、同時にヒスタミン、ブラジキニン、プロスタグランジンなどの炎症を起こす物質が周囲に放出され、痛みを起こします。
歯の移動は一種の炎症反応ですから、多かれ少なかれ、痛みを伴うのは、今のところ避けられないようです。
Q.「抜歯」について
【答】
矯正治療で歯を抜く必要があるとお話しすると、「健康な歯をなぜ抜くのでしょうか?」という質問をされる方が必ずいらっしゃいます。確かにどの歯も抜かずに不正咬合が治療できれば、それに越したことはありません。しかし、抜歯しないと治すのが難しい症状には次のようなものがあります。
抜歯をしないと治すのが難しい症状とは?
1.顎骨の大きさに対して歯が相対的に大きいため、歯の生える空隙が著しく不足し、叢生(凸凹の歯並び)になっている場合。
叢生は、基本的には歯の入る場所(顎の骨)の大きさに比べて、相対的に歯が大きすぎる(ディスクレパンシィー)ために起きる症状ですから、その解決には、どちらかの要素の大きさを変えなければなりません。一本一本の歯の大きさは通常変えられませんので、歯を抜いて歯幅の合計を小さくするか、顎の大きさ(幅、長さ)を大きくして治療することになります。
顎の骨は、成長中であれば、ある程度大きくできますから、早期から歯列の拡大をする方法で治療してゆくと、抜歯の可能性を低くする可能性があります。
2.出っ歯、受け口、開咬などで、上下どちらか、あるいは両方の前歯を後退させて前突を治す必要がある場合。
この場合、後退させるための隙間を得るために抜歯します。
歯はただあればよいというものではなく、上下の歯が咬み合い、咀嚼機能や発音機能を果たし、あるいは食いしばって力を出すことなどもできなければ意味がありません。
また、顎関節にも負担をかけない安定した咬合状態になっていることも必要です。どこも歯を抜かずに無理に並べると、前歯が前突しすぎて口元が突出したり、前歯の機能が十分果たせない、また将来に渡っての安定が得られないような場合は、抜歯して治療する必要があります。
叢生では、虫歯や歯周病になりやすく、それが原因で歯を抜くことにもなりかねません。ですから、歯を抜くことのマイナスと、抜いて不正咬合を治した場合のプラスを天秤にかけて、どちらを取るかという選択をするわけです。
通常抜歯する歯は、小臼歯といって、中央の前歯から数えて4番目か5番目に当たる歯です。第一小臼歯、第二小臼歯と2本あり、大臼歯に比べて小さいし、1本が欠損しても他の歯に比べて影響は少ないと考えられているので、抜歯の対象とすることが多いのです。
どこの場所の歯を抜いたとしても、基本的には両側から隙間の閉鎖をはかり、治療後には隙間は残りません。
註:「ディスクレパンシィー」
歯の大きさと、顎の大きさとの不調和を「ディスクレパンシィー」と言います。
近頃、「噛めない」「飲み込めない」子供が増えていると言われています。硬いものはもちろん、噛みにくい繊維質の多い食品も避け、軟らかい食べ物を好みます。当然、顎に付いている筋肉の仕事量は減少しますし、歯を介して骨に伝わる刺激も減りますから、顎の骨は十分発達しないで成長を終了することになります。それに比例して歯の大きさが変わるということはありませんから、歯の生えるスペースが足りなくなり、歯が乱立する状態、「叢生」になってしまいます。
Q.治療中の虫歯予防はどうしたらよいでしょうか?
【答】
矯口の中にずっと入っている固定式矯正装置(マルチブラケット装置など)を装着すると、う蝕(虫歯になる過程)に罹りやすい環境になるのは事実です。
装置は、う蝕の原因となる食物残渣や歯垢(プラーク)の滞留しやすい突起物となるからです。
う蝕の発症は、原因菌、歯垢の存在と、その病変の進行している時間に左右されると言われています。歯質からカルシウムやリンが一時抜けても、再石灰化で元に戻る過程があれば、歯質の欠損(いわゆる虫歯)にはなりません。ですから、砂糖摂取の抑制、歯垢の除去とともに、再石灰化を促進したり、酸を希釈する唾液量を増やしたり、免疫力の増進なども併せて行なうことが重要です。
個人個人の口腔細菌、唾液量、食生活環境などを分析し、その状況に合わせて対策を立て、実行すれば、虫歯になる可能性をかなり低くすることができます。
具体的には、丁寧なブラッシングの他、フッ素塗布、キシリトール摂取、定期的なクリーニング、虫歯菌除菌などです。
Q.目立たない装置について教えてください
【答】
最近は、成人にも矯正治療を希望する方が増えていますし、またそれを可能にする技術も向上してきましたので、代表的な装置を紹介しましょう。
1.審美的ブラケット
ふつう、マルチブラケット装置(歯の一本一本に矯正器具を付ける装置)は、金属製の器具を歯に付けますが、その代わりに、セラミックやプラスチック、グラスファイバーなどでできた器具を使い、目立たなくする方法です。見えるのは針金だけになりますので、日常会話の時など、見た目にはほとんどわからなくなります。
金属ブラケットと比べると、摩耗、破損しやすい、接着がはずれやすいという欠点がまだあります。また、硬いセラミック製のブラケットは、治療終了時の撤去の際、エナメル質を破損するリスクがあると言われています。
2.マルチ・リンガル・ブラケット装置
これは、すべての金具を歯の裏側に付ける方法です。従って、装置はまったく見えませんが、舌が慣れるまでの間(1~3ヶ月)違和感は強く、発音に支障が出ます。また、歯の外側に付ける装置での治療に比べ、治療期間が長くなったり、十分に治せない症状もあります。治療費は、通常の装置より高くなります。
Q.良く噛まない子は不正咬合になりますか?噛むことの効果を教えてください
【答】
人類学の研究から、食べ物の内容が頭蓋骨の形の変化に大きな影響を及ぼすことがわかっています。煮炊きなどの調理方法が発達していなかった時代には、硬い食物を噛みきったり、すりつぶしたり、何回も良く噛んでいましたから、顎を動かす筋肉は発達し、歯が植わっている顎の骨も大きかったわけです。
江戸時代でも、徳川将軍家は調理に手をかけた軟らかい食事を取るようになったため、わずか三~四代で顔が細面になり、叢生の歯並びが出ています。一方庶民は、がっしりした、えらの張った顔で、叢生もほとんどなかったと言われています。噛むための筋肉の活動量は、顎の骨の大きさにおおいに関連しています。
一方歯の大きさは、乳幼児期の栄養が良くなりすぎたためか、少しずつ大きくなっているようです。顎の骨の縮小と歯の大型化により、叢生(凸凹の歯並び)は増加傾向にあるようです。
さらに、成長期においては、噛む動作は、口の周囲の骨格や筋肉、消化器官の発達を促す作用がありますから、噛む動作が不足すると、下顎の十分な成長が起こらず、上顎前突(いわゆる出っ歯)や、過蓋咬合(深い咬み合せ)という不正咬合につながります。
「噛む」という動作は、食物を噛み砕くという消化作用の第一段階ですが、そのほかにも、唾液分泌促進作用があり、消化を助けています。唾液中には、食物の消化酵素の他にも、解毒作用を持つ酵素や、「ぼけ」を防止する酵素もあると言われ、よく噛むことでそれらが多く分泌されると言われています。
では、どうしたら良く噛むようになるか?ということですが、急に硬いものを噛んでも、かえって顎関節を傷めたりしますので、少しずつハンバーグなどの加工食品を減らしたり、調理の程度を軽くして、噛みごたえのある状態を残すとか、時間をかけて、良く噛んで食事をする、などの工夫が必要でしょう。
Q.歯並びが綺麗なら良いのでしょうか?
【答】
矯正治療は、見た目の歯並びが綺麗になれば良いのでしょうか?
矯正治療というと、歯の並びを綺麗にするだけの美容目的と考えておられる方がいらっしゃいますが、実は少し違います。噛み合わせも大事なのです。
本来「歯科治療の目的」は、噛み合わせを整え、口腔の持つ機能(咀嚼、嚥下、発音、表情表出など)を十分発揮できるようにすることです。矯正歯科治療は、それを歯の移動によって達成しようとするものです。
表情を作る機能の改善のため、前歯の位置、並びも整えますから、見た目の形は改善します。しかし、それだけを目的にし、噛み合わせを十分改善しないと、歯の異常摩耗、動揺、破折をまねいたり、顎関節に障害をもたらす場合も出てきます。若いうちは歯の支持組織(歯肉、骨)や関節も丈夫ですから症状は出にくいのですが、増齢や炎症などにより組織の弱体化が進むと、症状が現れてきます。
是非、見た目の綺麗さのみを追求するのではなく、口腔の持つ機能全体が改善するような治療を受けていただきたいと思います。
各先生からの回答
新井茂先生からの回答
虫歯がありますが、一緒に虫歯の治療はできますか?
表側矯正と裏側矯正の違いは何ですか?
矯正治療は何歳まで受けられますか?
上の前歯の並びだけが気になるのですが、部分的な矯正はできますか?
矯正の治療費も医療費控除の対象になりますか?
今井裕三先生からの回答
医療費控除を受けるための条件は?
歯の治療費を歯科ローン(クレジット)で支払うと得になるの?
矯正治療では抜歯が必要だと聞いたのですが......
治療期間と通院間隔はどれくらいですか?
治療中に引っ越した場合は、どうすればいいですか?
前田眞琴先生からの回答
矯正治療中に妊娠しても大丈夫ですか?
目立たない矯正器具はありますか?
矯正治療中の歯磨きは大変ですか?
ブリッジや差し歯があります。矯正治療はできますか?
外科手術が必要な矯正があると聞いたのですが......
しばらく通院できなくても大丈夫ですか?
下向保子先生からの回答
治療中の痛みはどの程度ですか?
装置が壊れたらどうすればいいのですか?
矯正装置を着けたら、食べ物の制限はありますか?
矯正装置を着けたままスポーツや楽器の演奏はできますか?
治療後、元に戻ったりしませんか?
Q.虫歯がありますが、一緒に虫歯の治療はできますか?
【新井茂ドクターからの回答】
残念ながら矯正専門歯科医院では虫歯治療は行っておりません。患者さんのかかりつけの歯科医院あるいは、当院が信頼できる歯科医院をご紹介してタイミングをみて治療していただきます。抜歯に関しても同様です。
虫歯があっても痛みなど急性症状がない場合は、そのままのお口の中の状態で、矯正治療のカウンセリング(初診・相談)を受けられることをおすすめいたします。
矯正治療をなさる場合であれば、お口の中全体を考えて、矯正治療の内容が決まってから虫歯の治療を受けられた方が良いと思われます。
虫歯治療を行わない理由は、日々虫歯治療を行っている歯科医にお願いする方が、患者さんにとってメリットが大きいと考えているからです。
治療内容によって、その道のプロにお願いすることが、患者さんにとって最善の治療法だと思います。内科の先生が外科の手術をしないのと同じだとイメージしていただければわかりやすいと思います。専門以外の治療を他の先生にお願いすることで、私どもも矯正治療に専念することができます。
今までの質問とその回答
ガミースマイル治せませんか?
前歯を引っ込めすぎ?
埋伏歯の処理
受け口、乱杭歯の治療方針
矯正治療費について
高齢者の矯正治療
海外からの転医
矯正治療と補綴治療とどちらが先?
空隙歯列、開咬と裏側(舌側)矯正
骨格性反対咬合の治療法、装置について
上下前歯前突の再治療
小学生の矯正治療、期間、費用
ドクター選び--質問の仕方
ドクター選び--料金、非常勤矯正医
ドクター選び--資格、方針、装置
反対咬合(受け口)の治療時期
先天性欠如歯の対応
保定治療について
短根歯と矯正治療
マウスピース型の矯正装置
転院希望
矯正歯科医とは
「歯並びがデコボコしている。」「出っ歯が気になる。」など、お口元の見た目を気にして矯正治療を始める方が増えています。ところが、こうした方の中には、審美歯科治療や美容整形と混同されている方も少なくありません。
矯正治療は歯をキレイに並べるだけの治療ではありません。本来の目的は噛み合わせの改善です。噛み合わせを正しくすることで、咀嚼や嚥下、発音など、本来の口腔機能十分に発揮できるようになります。歯並びがキレイになってお口の中の環境が改善されると、虫歯や歯周病を防ぐことができ、歯の健康を守ることができます。
医院の設備について
矯正歯科医院を選ぶとき、矯正専門医の経験や技術力だけでなく、院内の設備を確認することも大切です。歯科医院では、X線撮影装置の導入が義務付けられていますが、医院毎に導入している装置は異なります。歯並びや噛み合わせは歯・顎(あご)・頭部骨格と密接に関係しているため、これらの状態を正確に把握できる装置が必要です。
Q.表側矯正と裏側矯正の違いは何ですか?
【新井茂ドクターからの回答】
歯を動かすためのブラケットいう装置を歯の表側に着けるか裏側に着けるかの違いです。
治療中の見た目をどの程度求めるかによって、表か裏かをお選びいただけます。担当する先生の技術によっては期間や仕上がりには多少の差があることも考えられます。費用面は、裏側矯正の方が高いことが多いです。
以前は表側矯正に使うブラケット素材が金属だったため、歯が見えたときにはギラッと装置が目立ちました。そのため、矯正治療中の審美性を求められる方は裏側に装置を着けるしかありませんでした。
しかし、ブラケットの材質・形態は日々進化しており、現在では歯の色にそっくりで、変色もしないセラミックブラケットが主流となりました。さらに、ブラ ケット同士を繋ぐワイヤーも、シルバーではなく金属色の薄いホワイトワイヤーが登場したことによって、より見た目に優れた表側矯正が可能になっております。しかし、やはり表側に装置が着くことにどうしても抵抗がある場合は裏側矯正が有効です。
裏側矯正について、以前は、しゃべりにくい、舌が痛い、食べ物が詰まる、歯磨きがしにくいなどの問題もありましたが、現在は装置の進化に伴い、ほとんど気にならないレベルになりました。
Q.矯正治療は何歳まで受けられますか?
【新井茂ドクターからの回答】
矯正治療に年齢制限はありません。歯を支えている骨である歯槽骨にダメージを受けていている方(歯槽膿漏のように歯がグラグラになっている方)以外は、何歳でも治療は可能です。
歯槽膿漏の方でも最初に歯周組織(歯周病)の治療をすることによって矯正治療が可能になるケースもあります。
悪い噛み合わせを何十年も放置していた結果、治療ができなくなる場合もありますので、できるだけ早く治療を開始することをおすすめいたします。
フランク矯正歯科研究会
フランク矯正歯科研究会は、国立東京医科歯科大学矯正科のOBによるスタディ・グループです。所属しているのは同大学矯正科で専門教育を受けた4名のドクターで、皆、矯正専門医院を開院し、矯正治療の第一線で活躍しています。
2ヶ月に一度、症例発表を行い、率直な意見を交わしながら、各自の治療に生かしています。また、研究会では2005年に当サイトの前身となる「矯正歯科相談室」を立ち上げ、矯正治療に関する正しい情報を発信すると共に、患者さんからのご質問にもお答えして来ました。
ただ、現在はインターネット上での相談は行っておりません。詳しくは、「相談室を立ち上げたいきさつ」をご覧ください。
研究会由来
相談室を立ち上げたいきさつ
メッセージ
メンバー医師紹介・経歴
医院アクセスマップ
研究会の由来
歯科医師はとかく上下関係が厳しい世界です。学会に参加しても人数が多過ぎると畏まってしまったり、先輩に遠慮して本音が言いにくかったりと、建設的な意見があっても、我慢してしまうことも少なくありません。
フランク矯正歯科研究会では、先輩・後輩の垣根を取り払い、お互いの意見を率直に言い合える会を目指しています。会の名称もfrankly speaking(フランクリー・スピーキング=率直に話合う)から取って名付けました。
有益な情報を発信するために矯正相談室を立ち上げる
当時、ホームページを立ち上げる歯科医院が急増していました。
掲載コンテンツの中には、患者さんにとって有益な情報が多数含まれています。しかし、情報発信の方法は一方的であり、患者さんの疑問やお悩みに直接答えてくれるものではありませんでした。
患者さんが求めているのは、矯正専門医から直接アドバイスを受けることです。当時、多くのホームページは、こうした要望を満たすことができませんでした。
そこで当研究会は患者さんが気軽に相談できる場を提供するべく、2005年4月に「矯正歯科相談室」を立ち上げました。
当相談室の特長は、4人の専門家による客観的なアドバイスです。患者さんから寄せられたご質問にメンバー全員が考えて回答します。また、問題を4人の違った視点から探っていきますので、回答が偏ることがありません。
インターネット上で、質問に答えるサイトは数多くありますが、当サイトのように、4名の矯正専門開業医が協議してご質問にお答えしているのは他に例がなく、一線を画したものだったと自負しています。しかしながら、皆様からの様々なご質問にお答えしていく中で、インターネット上での相談に於いても限界を感じるようになってきてしまったのも事実です。
矯正治療は、虫歯の治療などと比べて治療期間が非常に長く、患者さんの治療に対する思いや反応も様々ですので、ご相談内容も非常に複雑になりやすく、回答に苦慮する場面が多々あります。なるべく、正確でお役にたてる回答を提供したいと思えば思うほど、どこまで申し上げてよいかと悩んでしまうのです。
そのようにして、様々なご質問にお答えしていく中、「実際にお口の中を見せていただかなければ、正確なお答えをするのは無理ではないか。」という気持ちが、次第に強くなってまいりました。
私たちはそこに至り、このたび当サイトは全面的なリフォームを行って、内容の大幅な拡充を図ることとし、患者さんが抱えておられる疑問の解決に役立てて頂く一方で、インターネット上での相談はあえて行わないことにいたしました。
「矯正治療とは?」に始まる個々のページや、「今までのご質問とその回答」などをご覧になっても問題点が解決されない患者さんは、当研究会に所属する矯正歯科専門医に直接ご相談していただくことをおすすめいたします。
歴史ある研究会
1986年、当時開院準備に追われていた今井ドクターは、後輩ドクターからこんな相談を受けました。
「大学病院にいたときは先輩にいつでも相談できたのに、いざ開院した途端、誰にも頼れなくなってしまいました。治療をしていても不安に思うことが多々あります。開院したドクターが気軽に集まり、お互いに相談できる研究会を作りませんか?」
この言葉が、フランク矯正歯科勉強会発足のきっかけとなりました。
周囲に声をかけて5人のドクターが集まり、初の勉強会が開かれました。スターティングメンバーは今井ドクター、新井ドクター、下向ドクター他2名。1987年にはさらに1人増え、6人体制になりました。
実は、他にも参加希望者がいましたが、人数が増えると自由に意見が言えなくなるため、お断りしていました。その後、メンバーの入れ替わりを数回経た後、1996年に前田ドクターが入会し、現在の4名体制ができ上がりました。
発足以来26年経ちますが、一度も休むことなく続いています。
ところで、当研究会は国立医科歯科大学のOBの集まりです。私立大学出身の先生方に比べると派手さに欠けていますが、臨床研究マインドに溢れ、真面目にコツコツとやっているドクターが目立ちます。それこそが、医科歯科のカラーなのかもしれません。
独自性を持たせたスタイル~あえて難症例を発表
勉強会は2ヶ月に一度行っています。毎回、持ち回りの当番ドクターが症例写真を持ち寄り、3人の前で症例報告をします。
そのスタイルは独特です。初めに治療前の資料を見せて、治療方法について、全員が意見を出し合い、全員の意見が出尽くした後、実際の治療成果を発表します。
当研究会に所属するドクターは皆専門教育を受けています。高度な矯正技術を持ち合せていますので、簡単な症例発表では参考になりません。そこで、治療上のミスやトラブルを防ぐために役立てるために、あえて難症例を発表して情報共有することにしました。
他の研究会・勉強会では治療がうまく終わった症例中心ですので、当研究会の発表は非常に勉強になり、実際の治療にも役立っていると全てのドクターが語っています。
これから勉強する先生へのアドバイス・若い先生へのアドバイス
これから矯正歯科医を目指す若いドクターたちに、先輩ドクターからのメッセージを送ります。
新井茂ドクター
他の歯科医院でアルバイトをしているドクターがいます。それ自体は悪いとは思いませんが、目的をしっかり持ち、それに沿ったアルバイトの方法を考えて欲しいと思います。矯正専門医の下で治療技術を身につける、そのドクターから患者さんとの接し方を学ぶという姿勢を忘れないでください。
大切なことは、患者さん一人ひとりと向き合い、きちんと治療することです。それは、アルバイトでも開業医でも同じだと思います。
今井裕三ドクター
専門教育を受けてから3~4年ぐらいは自信があり、何でもできそうな気になります。しかし、そこで慢心しないでください。後で、自信を失うような出来事がたくさん出てきますので、経験豊富な先輩ドクターの話をよく聞くことが大切です。
また、新しい技術を身につけて、良い治療をしたとしても、治療を終えた後に、後戻りも含めて色々な問題が起きてきます。経験しないと分からないことがたくさんありますので、とにかく経験してください。そして、一人前になるまでには相当の時間がかかるということを肝に銘じてください。
下向保子ドクター
とにかく勉強してください。矯正専門医は特殊な技術を身につけているため、稀にエリート意識を持たれるドクターがいます。しかし、矯正治療は歯科治療の一つであり、決して特別で万能な治療ではありません。
矯正治療だけでは解決できないこともたくさんあります。口腔外科や一般歯科など、関連する先生方と連携を取り、患者さんにとって一番良い治療を提供することが大切です。
前田眞琴ドクター
私が開院した当時は、開業医のノウハウが分からず、ずいぶん苦労しました。もし開業医師を目指しているのなら、経験豊富な医師に師事し、研鑽を積んでください。
また、あえて自分と意見が異なるドクターに師事したり、自分の症例をなるべく多くの人に見てもらったりする機会をたくさん持ってください。自分を評価してもらうことで、どんどん磨かれていきます。その中には批判的な意見をありますが、それをバネに成長して欲しいと思います。
Q.上の前歯の並びだけが気になるのですが、部分的な矯正はできますか?
【新井茂ドクターからの回答】
はい、可能です。
ただし、部分矯正といっても、問題がある歯のみに装置を着けて歯を動かすことはできません。全体の噛み合わせを考え、装置を着ける箇所を判断する必要があるからです。どの程度装置を着ける必要があるのか、治療期間にも個人差があることをご了承ください。
矯正歯科医とは?
「歯並びがデコボコしている。」「出っ歯が気になる。」など、お口元の見た目を気にして矯正治療を始める方が増えています。ところが、こうした方の中には、審美歯科治療や美容整形と混同されている方も少なくありません。
矯正治療は歯をキレイに並べるだけの治療ではありません。本来の目的は噛み合わせの改善です。噛み合わせを正しくすることで、咀嚼や嚥下、発音など、本来の口腔機能十分に発揮できるようになります。歯並びがキレイになってお口の中の環境が改善されると、虫歯や歯周病を防ぐことができ、歯の健康を守ることができます。
矯正治療が抱える現状
近年、矯正治療は急速に普及し、大人から成人まで幅広い方が治療を受けるようになりました。しかしながら、現状では必ずしも全ての方に適切な治療を行っているとは言い切れません。そこには、矯正治療の持つ、特殊性や専門性が関係しています。
矯正治療は専門的な技術と経験を必要とする治療です。その性質上、歯科医師であれば誰でもできる治療ではありません。これに対し、法律上では技術・経験に関わらず、「歯科医師であれば誰でも矯正治療ができる」と定められています。つまり、経験がない歯科医でも、矯正治療ができます。これこそが、「矯正治療は担当医毎に治療結果が異なる」と言われる所以でもあり、それが元で患者さんとのトラブルに発展する危険をもはらんでいることも事実です。
正しい情報提供で患者さんの不安を取り除く
当矯正歯科相談室の目的は、できる限り正確な情報をご提供することです。患者さんが安心して治療が受けられるお手伝いをするために、これまでにお寄せいただいたご質問について、責任を持ってお答えしています。
近年、高齢化社会が進んでいます。長寿の秘訣は、自分の歯で食事が美味しく食べられること。そんな一生ものの財産を矯正治療はもたらしてくれます。当矯正歯科相談室をご覧になった皆さまが、少しでも歯の健康にご関心を持っていただければ幸いです。
院内の設備
矯正歯科医院を選ぶとき、矯正専門医の経験や技術力だけでなく、院内の設備を確認することも大切です。歯科医院では、X線撮影装置の導入が義務付けられていますが、医院毎に導入している装置は異なります。歯並びや噛み合わせは歯・顎(あご)・頭部骨格と密接に関係しているため、これらの状態を正確に把握できる装置が必要です。
矯正歯科医院で導入しているX線装置には、顔全体の骨格を調べる頭部X線規格写真撮影装置や歯列全体をうつすパノラマ断層撮影装置、3~4本の歯をうつすX線装置などがあります。
このうち、頭部X線規格写真撮影装置は、一般歯科医院には設置されていないのが普通ですが、矯正の治療方法を検討する際には非常に重要な情報を提供してくれる装置です。
この他、滅菌設備も重要な要素です。使用した治療器具を滅菌消毒する「オートクレーブ(高温高圧蒸気滅菌器)」や、お口の中の唾液や汚れを吸引する「口腔外バキューム」などがあります。
こうした設備が整っている矯正歯科医であれば、安心して治療が受けられるといえるでしょう。
医院選びのQ&A
矯正治療を始める前に考えなければならないことは、矯正歯科医選びです。選んだ医療機関毎に診断や治療方針が異なるため、仕上がりにも影響を与えます。矯正歯科医選びはそれ程までに重要なことです。単に「通院しやすい」という理由だけで決めてしまっては、後々後悔することにもなりかねません。
当矯正歯科相談室では、矯正歯科医を選ぶときの基準と注意点を具体的にご紹介いたします。
かかりつけ歯科医に相談するときのポイントを教えてください。
クチコミで探すときの注意点を教えてください。
広告を見るときのポイントを教えてください。
矯正歯科専門医が「自分が治療を受けてみたい矯正専門医院・矯正専門医」のポイントは?
Q.矯正の治療費も医療費控除の対象になりますか?
【新井茂ドクターからの回答】
子どもの場合:発育段階にある子どもの歯列矯正は、成長を阻害する可能性がある不正咬合を治すことが治療の目的であるため、基本的に医療費控除の対象になります。
成人の場合:矯正治療の目的が、身体的な機能(咀嚼、発音、噛み合わせ)の改善の場合、成人でも医療費控除の対象になります。同じ歯列矯正でも、見た目を美しくすることが目的の治療では、医療費控除の対象にはなりません。
原則的には、予防と美容に関するものは認められないとされていますが、歯列矯正をする大抵の人は歯並びが悪いため、咀嚼障害や噛み合わせの改善を必要とします。
実際に、審美的改善が主か、咀嚼障害の改善などが主かといった判断は矯正歯科の担当医が行いますので、基本的に医療費控除の対象となります。
かかりつけ歯科医に相談するときのポイントを教えてください。
【答】
かかりつけ歯科医に相談するときは、誰が矯正治療を担当するかによって判断が異なってきます。一般的には、以下の三つの可能性が考えられます。
【1】かかりつけの歯科医が矯正を担当する
かかりつけの歯科医で治療が受けられる安心感があります。その半面、矯正歯科治療は専門技術を必要とするため、技術面に不安があります。他の患者さんからかかりつけの歯科医の経験と技術力を聞き、事前に情報収集する必要があるでしょう。
【2】かかりつけの歯科医院に勤務している矯正歯科医が担当する
矯正歯科医は非常勤の場合が多く、診療日も月に1~2回程度です。そのため、患者さんのご都合が合わなければ通院間隔が長くなり、度重なると装置の破損などのトラブルが起きやすいといえます。万一、トラブルが起きたときにどう対応してもらえるのかをきちんと確認した上で、慎重に決定する必要があるでしょう。
【3】大学病院の矯正科や矯正専門開業医を紹介してもらう
技術的に最も安心して治療が受けられます。治療中に虫歯が見つかった場合は、かかりつけの歯科医と連携した治療が受けられます。なお、大学病院は診療時間が短いので、通院可能な時間帯などをあらかじめ確認しておく必要があるでしょう。
Q.クチコミで探すときの注意点を教えてください。
【答】
矯正装置や治療経過、医院の雰囲気など、実際に治療を受けている人でなければ分からない情報が得られるので、とても参考になります。何より患者さんサイドの情報であることに価値があります。とはいえ、同じ患者さんは二人といません。クチコミによる情報が100%ではありませんので注意が必要です。
Q.広告を見るときのポイントを教えてください。
【答】
新聞・雑誌・チラシ・インターネットなどの広告を見るときは、"診療科目"に注意することが大切です。診療科目に「一般歯科、矯正歯科」のように複数科目を掲げる歯科医院はできるだけ避けて、「矯正専門医」を選ぶといいでしょう。また、インターネットで調べるときは、誇大広告と思われる内容も少なくありません。「ホームページはあくまでも広告である。」ということを意識しながら見ることも大切です。
Q.医療費控除を受けるための条件は?
【今井裕三ドクターからの回答】
医療費控除は、1月1日~12月31日の1年間に支払った医療費が10万円を越えた場合の超過分に対して適用されます。ただし、年間所得が200万円未満の場合、所得×5%を基準として超過分に対して適用されます。
Q.矯正専門医が思う「自分が治療を受けてみたい矯正専門医」のポイントは?
【答】
矯正歯科医選びには、絶対確実という方法がありません。患者さんがお持ちの価値観やご事情などにより変わってきます。しかし、実際には判断基準が分からずに、かえって混乱してしまう方も少なくありません。大切なことは情報収集し、その中からご自身に合った医療機関を見極める目を養うことです。
新井茂ドクター
ポイントは二点あります。
一点目は、矯正専門医の経験と実績です。10年以上のキャリアがあり、豊富な症例を経験している専門医でしたら安心できると思います。
二点目は、患者さんに対する真摯な姿勢です。患者さんに対してどれだけ真剣に向き合ってくれるのか。カウンセリングにかける時間や説明内容など、患者さんが理解できるように話してくれるのか、ということを重視します。
今井裕三ドクター
話をよく聞いてくれて、どんな質問にも分かりやすく答えてくれる矯正歯科医です。具体的には、二つ以上の治療方法があれば、両方のメリット・デメリットと、矯正治療に伴う副作用の可能性をきちんと説明してくれること。欲を言えば、矯正治療修了後のメインテナンスをきちんと行ってくれる先生です。
もう一つのポイントが、スタッフの雰囲気です。スタッフが気持ちよく働いている医院は患者さんとコミュニケーションが取れていますので、信頼できると思います。
下向保子ドクター
柔軟な対応ができる矯正専門医です。稀に自分の治療方法を患者さんに押し付けてしまうドクターがいます。しかし、治療方法は決して一つだけとは限りません。複数の治療計画が提案でき、それぞれのメリット・デメリットも説明できることが大切でしょう。もちろん、矯正治療には、見た目の美しさも重要ですので、矯正専門医の技術力も重視します。
前田眞琴ドクター
ドクターの信頼度を様々な方向から探ります。カウンセリングで分かりやすくきちんと説明できるかどうか。できれば治療例を具体的に説明してくれると、より説得力が増して信頼できます。それに加えて、院内の雰囲気も重要でしょう。
Q.歯の治療費を歯科ローン(クレジット)で支払うと得になるの?
【今井裕三ドクターからの回答】
得になることは、あまりありません。
歯科ローンとは、患者さんが支払うべき治療費を信販会社が立替払いをし、その立替分を患者さんが分割で信販会社に返済する仕組みです。
信販会社が立替払いをした金額は、その患者さんのその立替払いをした年の医療費控除の対象になり、一括で治療費を支払ったときと同じ医療費控除の金額になりますので、節税効果が大きくなるように見えるかもしれません。
しかし、信販会社に支払う金利及び手数料相当分は、医療費控除の対象になりませんので、この費用の負担の方がずっと大きいのが通常です。
本サイトのメンバーの診療所では、無利子での院内分割が可能ですので、お気軽にご相談ください。
治療費について
矯正料金は自由診療です。そのため、治療する範囲や使用する装置、治療開始期間などにより金額が違い、料金体系も各医院毎に異なります。
参考までに、当矯正歯科相談室に所属する矯正専門医院の料金体系をご紹介いたします。
カウンセリング
カウンセリング料 | 2,100円~3,150円(税込) |
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患者さんがお困りになっていることや疑問に思われていること、ご要望などを詳しくお聞きし、治療の概略を説明いたします。
Q.矯正治療では抜歯が必要だと聞いたのですが......
【今井裕三ドクターからの回答】
治療上、抜歯をしないと良い結果が得られない場合には、抜くことがあります。顎(あご)の大きさに対し、歯が大きすぎると、歯並びがデコボコになったり、出っ歯になるなど色々な問題が起きます。
その場合、顎の大きさと歯の大きさのバランスの程度や口元の突出感、横顔の輪郭などを総合的に診査して抜歯の必要性を判断します。
矯正歯科医は、可能な限り歯を抜かない治療を目指していますが、顎の大きさと歯の大きさのバランスが非常に悪い場合や、口元が前に出ているような場合に、抜歯をせずに治療を行いますと、満足のゆく結果を得ることは無理ですし、後戻りも起きやすくなります。
最近は、どんな場合も歯を抜かずに治療ができるようなことを主張する矯正歯科医もいますが、抜歯をした方が、ずっと良い結果と満足感が得られる場合も沢山あるということは事実として知っていた方が良いでしょう。
検査費用
検査費用 | 33,600円~59,850円(税込) |
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精密検査を行い診断に必要な資料を揃えます。検査には、歯と歯肉・お口の中の状態の診査、歯型採り、レントゲン検査、顔面・歯列の写真撮影、虫歯リスク検査などです。検査結果を基に治療計画を立案し、治療方針や治療期間、使用する装置、治療費用など、治療に関する詳細を説明いたします。
治療費用
第1期 | 210,000円~420,000円(税込) |
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第1期治療は、まだ乳歯がある時期(12歳頃まで)に開始する治療です。通常、顔面骨格の成長を利用する治療や、歯列を部分的に整える治療を行います。
第2期 | 577,500円~840,000円(税込) |
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第2期治療は、永久歯列に対して全体的に行う治療です。あらかじめ第1期治療を行っている場合、この時期の治療費は少なくなります。
各治療費には装置装着費用と装置代が含まれています。なお、費用は治療の範囲や使用する装置、治療開始時期により異なります。
Q.治療期間と通院間隔はどれくらいですか?
【今井裕三ドクターからの回答】
治療の難易度、歯の動き方の個人差にもよりますが、通常、1ヶ月に1回の通院で、平均2年~3年が一般的な治療期間です。ただし、この期間は歯を動かすのに必要な期間であり、その後も治療後の噛み合わせが安定するよう、保定装置を使用していただきながら、数ヶ月に1回程度の経過観察をする必要があります。
また、通院間隔は月1回が平均的ですが、治療を急ぎたい場合には2~3週間に1回程度、逆に多忙で月1回の通院が無理な場合は、治療期間は長引きますが、1ヶ月半~2ヶ月に1回程度の通院にすることも可能です。
処置および調整料
調整料 | 4,200円~6,300円(税込) |
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動的治療(歯を動かす治療)期間は、月1回程度来院し、矯正装置の調整を受けていただきます。
保定観察料 | 2,100円~4,200円(税込) |
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保定治療(歯を固定させる)期間中は3~6ヶ月に1回程度来院し、メインテナンスを受けていただきます。
お支払方法
患者さんのご要望に合わせて、分割でのお支払いも承っています。お支払方法やお支払回数など、出来るだけご希望に沿うようにいたしますのでご相談ください。
歯科の医療費控除とは?
矯正治療は健康保険が適用できませんが、医療費控除が受けられる治療です。
医療費控除とは、医療費の負担を軽減するために設けられた制度で、自分や家族のために医療費を支払った場合、一定の金額の所得控除を受けることができます。
本人又は生計を同じにする配偶者とその他親族が、その年の1月1日から12月31日までの間に医療費医を支払った場合、その翌年に確定申告をすることで医療費控除が適用され、税金が還付または軽減されます。
ただし年間で支払った医療費が10万円以上であり、申告額の上限は200万円までです。また総所得金額等が200万円未満の方は、実際に負担した医療費が、総所得金額等に対して5%以上である場合に申告できます。
Q.治療中に引っ越した場合は、どうすればいいですか?
【今井裕三ドクターからの回答】
通院を続けることが不可能な地域への引っ越しでしたら、引っ越し先の近くで、信頼できる矯正歯科医院をご紹介し、継続治療の依頼をいたします。その際、初診時の状態の資料や治療経過、治療費などを継続治療先の矯正歯科医に伝え、スムーズに引き継ぎが行えるよう配慮いたします。
当サイトのメンバーは、日本で最大の矯正歯科専門医の団体である日本臨床矯正歯科医会に4名とも所属しており、その全国的なネットワークも活用できます。
また、治療費については、治療の進み具合による清算を行い、返金する場合もございます。
治療がかなり進んでおり、引っ越し先もそれほど遠方ではなく、1~2ヶ月に1回程度の通院が可能なようでしたら、そのまま、今までの矯正歯科医院で治療を続けられることをおすすめいたします。
治療時期について
矯正治療を始めるタイミングは、一般的に「永久歯が生え揃ってから」と思われがちです。しかし、一概にそうとは言い切れません。あまりにも早すぎると、治療期間が長引いてしまうこともあります。
不正咬合が始まる一般的な時期は、乳歯から永久歯に生え変わる小学校低学年の頃です。この時期に、一度矯正専門医の診察を受けることをおすすめしています。
とはいえ、治療に最適な時期は症例や症状毎に異なり、乳歯の時期に治療が必要なケースもあります。大切なことは不正咬合に気付いたら、早めに専門医に相談することです。正確な診断を受けることで、最適な治療開始時期を知ることができます。
早期治療の利点
早期治療には、多くのメリットがあります。
●顎の成長のバランスを整え、美しい顔立ちに導くことができる
不正歯列や噛みグセを改善することで顎(あご)の成長バランスを整え、美しい顔立ちへと導きます。また、成長後に外科的手術が必要な症例でも、手術をせずに治療ができる可能性が高まります。
●永久歯を抜かない矯正ができる可能性が高まる
奥歯を後ろに移動させたり、顎の成長を促したりすることで、歯が移動するスペースを確保できます。また、本格矯正の際、永久歯を抜かずに治療できる可能性が高まります。
●お口の本来の機能を取り戻す
歯並びや発音、食事に悪い影響を与えている指しゃぶりや舌癖が改善されます。また、口周りの筋肉や舌の動きがトレーニングされるので、筋肉の動きが正しくなります。
●コンプレックスを取り除き、健やかな精神発育を促せる
可能な限り前歯の状態を改善することで、お口元のコンプレックスを取り除き、心身共に健やかな成長を促してくれます。
●永久歯での矯正期間が短くなる
顎の成長を促し、歯を正しい位置に誘導します。永久歯に生え変わってからの本格矯正がスムーズになり、治療期間も短縮できます。
一方で治療が長期に及び、本人やご家族の負担が増す可能性もあります。近頃は、塾や部活動で忙しい子も多いようです。お子さまのライフスタイルを優先し、受験などが終わってから治療を始めても良いでしょう。
早く治した方がよい不正咬合
1) 反対咬合(受け口)
2) 著しい出っ歯の場合
3) 開咬(歯が噛み合わないこと)
4) 顎の左右的ずれ、顔面の非対称がある場合
5) 片側の臼歯だけが反対咬合の場合
6) できるだけ抜歯をせずに矯正治療を受けた場合
Q.矯正治療中に妊娠しても大丈夫ですか?
【前田眞琴ドクターからの回答】
通常、特に問題ありません。つわりで口腔内の清掃が不十分になると、固定式装置を着けている場合に、虫歯や歯周病になるリスクが上昇します。また、矯正治療で歯が動くメカニズムは、歯の周りの骨の改造現象なので、体調不良や栄養の偏りは、その現象に影響を与える可能性があります。
妊娠がわかりましたら、レントゲン撮影時のX線防禦には注意した方が良いと思います。出産の前後2~3ヶ月間、矯正治療を一時休むことはできます。
受け口・出っ歯・顔のゆがみ
受け口
反対咬合あるいは受け口が認められるときは、永久歯の前歯が生えてきたら、なるべく早めに治療を始めた方が良いでしょう。この時期に治療を始めると、下顎の成長が抑えられて反対咬合が悪化するのを防いでくれます。
もし、この時期に治療を受けなければ、下顎だけが大きく成長して症状が悪化し、成長後に外科的手術を必要とする可能性が高まります。遅くとも小学校低学年までには治療を始めた方が良いでしょう。
出っ歯
上顎前歯が前に突き出てくると、下の前歯と上の前歯が接触できません。そのため、下の前歯が上側に伸びて噛み合わせが深くなって上顎裏側の歯肉にあたります。下顎の成長が阻害されるため、自然治癒が望めません。
口唇が閉じにくい、あるいは深い噛み合わせ(過蓋咬合)が伴う重度の出っ歯は、できるだけ早めの治療が必要です。早期治療を行うことで口周りの筋肉バランスが回復でき、成長発育を正常に戻すことができます。また、成長後の本格矯正では、非抜歯矯正の可能性が高まります。
なお、成人になってからの治療では、抜歯を必要とする確率が高くなり、歯の移動量も増えることなどから、非常に難しい治療といえます。
顔の歪みがある
噛み合わせが逆になる反対咬合は、顔の歪みが原因になっていることがあります。特に「交叉咬合(こうさこうごう)」と呼ばれる噛み合わせは要注意です。これは、片側の歯の噛み合わせだけが反対で、下顎の歯の方が上顎より外側に出ている状態のことをいいます。
下顎の横ズレがある場合は、上下歯列の中心線もズレて顔にも歪みが生じます。低年齢の内に治した方が良い不正咬合の一つです。この時期に治療を受けなければ顔の骨格が歪んだまま成長しますので、成長後の治療には外科的処置が必要となります。また、筋肉などの軟組織も歪んだ骨格に対応するため、調和を図るのが難しくなります。
顔の歪みや、前歯の中心線のズレ、臼歯の反対咬合に気付いた段階で、早めに矯正歯科医を受診していただきたいと思います。
Q.目立たない矯正器具はありますか?
【前田眞琴ドクターからの回答】
歯の外側に着けるブラケットで、セラミックス製やプラスチック製の透明や歯と同じ色の物がありますので、目立たないと思います。また、歯の裏側にブラケットを着けて、表からは装置がわからない治療法もあります。透明な薄いシート状のマウスピースを用いる治療法もあります。透明なので、着けていることを見分けるのは困難です。
治療期間と流れ
治療の順序
矯正治療は1本1本の歯を治療する虫歯治療とは違い、全体の歯並びと噛み合わせを考慮した治療です。治療効果を高めるためにも、治療開始前に行う精密検査と、正確な診断が欠かせないといえるでしょう。
初診・相談
お電話などでご都合のよい時間をご予約ください。当日は、現在気になっていること、矯正治療についてのお考え・疑問やご希望などを詳しくお伺いします。さらにお口元やお口の中を見せていただき、現在の状態や考えられる治療方法、治療期間や治療費用等についても詳しく説明いたします。
検査
カウンセリング後、検査のご希望がある場合は、治療を前提とした精密検査を行います。検査では、現在の状態を詳しく分析して治療方法を決めるために必要な資料を揃えます。
<検査内容>
・口腔内診査
・歯型採り
・レントゲン検査
・写真撮影(顔面・歯列)
・口腔内および周囲の筋肉等の検査
・問診表記録
・顎機能検査 など
診断
検査の結果と治療方針・計画、装置、期間、費用、矯正治療上の注意事項を説明いたします。治療方法は必ずしも一つとは限りません。考えられる治療方法を複数提示することもあります。ここで疑問に思われることやご不明な点などがありましたら、遠慮せずにご質問ください。ご理解できるまで説明いたします。患者さんがご納得した上で、ご了承が得られれば、いよいよ矯正治療をスタートします。
準備
治療開始前に歯磨きの練習と、装置を作るための歯型を採ります。虫歯や歯石が多い方は、虫歯治療や歯石取りが必要です。また、抜歯を必要とする場合は、装置を装着する前に行います。
動的治療
装置を着けて治療を始めます。その後は装置を調整するために、4~8週間に一度、通院していただきます。年齢や症状、治療方針などにもよりますが、治療期間は約1~3年です。
※治療計画にあれば、舌や口の周りの筋肉のトレーニングも始まります。
保定治療
動的治療が終わると、固定式の矯正装置を取り外し、後戻りを防ぐために保定装置を装着します。保定期間は約2~3年で、安定するまで経過を診ていきます。
なお、動的治療終了後に検査を行い、治療前・後の変化と親知らずの抜歯などを含めた保定期間中の注意を説明いたします。
定期検診
矯正治療が終わった後は、メインテナンスを受けていただくために、定期的な通院が必要です。
歯がデコボコ
・歯列がデコボコに生えている
・歯に食べカスが残りやすい
・笑った時に犬歯が目立って見える
このような症状はありませんか? このような状態を「叢生(そうせい)」または「乱杭歯(らんぐいば)」といいます。上アゴの犬歯が他の歯より高い位置にあって、外側に張り出している「八重歯(やえば)」も叢生の一種です。
叢生は顎(あご)の大きさに対して歯が大きすぎるために起こることが多く、歯並びがデコボコに乱れたり、重なったりしています。歯ブラシがあたりにくいために虫歯や歯肉炎を引き起こしやすいといえます。
Q.矯正治療中の歯磨きは大変ですか?
【前田眞琴ドクターからの回答】
確かに、大変です。固定式装置の場合、丁寧に歯磨きをしないと、虫歯や歯周病に罹患するリスクがあります。必要に応じて歯間ブラシやフロスなど歯ブラシ以外の道具も使って清掃することをおすすめいたします。また、フッ素の利用も有効です。
受け口
・口を閉じると、下の歯列が上の歯列よりも前に出ている
・顎がしゃくれている
・上手く咀嚼ができない
・言葉が聞き取りにくいと言われることがある
このような症状はありませんか? このような状態を「反対咬合(はんたいこうごう)」と呼び、一般的には「受け口」ともいわれています。反対咬合の主な原因は遺伝です。それ以外にも上唇を吸い込む、舌を突き出すといった、幼い頃の舌や唇の癖が原因となっている場合もあります。
永久歯に生え揃ってからでは治療が困難になりますので、できるだけ早期治療が望まれます。
反対咬合 症例1
反対咬合 症例2(埋伏歯、叢生)
叢生 症例
出っ歯
・上の前歯が下の前歯よりも、極端に 前に突き出ている
・上唇が上ったままで、口を閉じにくい
・無理して口を閉じると、口元が不自然に歪む
このような症状はありませんか? このような状態を「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」といいます。一般的には「出っ歯」と呼ばれています。考えられる原因として前歯の傾斜が強すぎる、上顎が成長し過ぎている、下顎の成長不足、指しゃぶりの癖などがあります。また、鼻の疾患があり、口で呼吸をしているお子さまにも多く見られる症状です。
見た目の印象が悪くなるばかりか、口が閉じにくくなるため口腔内に外気が入りやすくなります。そのため細菌感染や粘膜の慢性炎症を起こしやすく、歯肉炎や扁桃腺炎等を併発する恐れがあります。
上顎前突 症例
噛み合わせが深い
・噛み合わせると前歯が深く被さり、上の歯が下の歯を隠してしまう
このような症状はありませんか? このような状態を「過蓋咬合(かがいこうごう)/ディープバイト」といいます。噛み合わせが深すぎる状態です。考えられる原因の一つに遺伝があります。その他、乳歯を早い時期に失う、あるいは虫歯で奥歯を失ったままの放置も影響します。
また、笑ったときに上顎の歯肉が見え過ぎたり、下の前歯が上顎の内側の歯肉を傷つけて炎症を起こしたりすることもあります。下顎にストレスがかかるため、顎関節症など顎関節のトラブルを引き起こすことが少なくありません。
すきっ歯
・歯と歯の間に隙間がある
・サ行などが発音しにくい
このような症状はありませんか? このような状態は、一般的には「すきっ歯」と呼ばれています。考えられる原因として、顎(あご)と歯の大きさのアンバランスから隙間ができてしまう、隙間に埋まっている歯がある、舌の圧力で歯並びが広がってしまう、あるいは生えている歯が不足していることなどが挙げられます。
上アゴの中央の歯(中切歯)の間に隙間のある場合、特に「正中離開(せいちゅうりかい)」と呼んでいます。この部位は隙間が生じやすく、しかも目立つので、矯正を希望される方が多くなります。
歯と歯の間に隙間があると発音がしにくく、見た目もよくありません。6歳頃にみられる「正中離開」にもこのような原因が考えられますが、発育段階に起きる一時的な隙間など全く心配ないと思えるケースも多く見られます。
前歯がうまく閉じられない
・口を閉じても上の前歯と下の前歯の間に隙間ができる
・舌を前方に突き出す癖がある
このような症状はありませんか? このような状態を「開咬(かいこう)/オープンバイト」といいます。主な原因として遺伝が考えられます。その他に幼児期の指しゃぶりや舌を突き出す等の癖、口呼吸等も影響しています。
このタイプは上下の前歯を閉じても噛み合いません。そのため、前歯で食べ物を上手く噛み切ることができず、横の歯で噛み切るようになります。発音しづらく、言葉が不明瞭で聞き取りにくくいこともあります。
開咬 症例
Q.ブリッジや差し歯があります。矯正治療はできますか?
【前田眞琴ドクターからの回答】
できます。ブリッジや差し歯の金属やセラミックスにも矯正器具を接着することができますので、マルチブラケット装置を装着して矯正治療することは可能です。ブリッジは切断し、歯が欠損している部分の隙間を縮めることもあります。矯正治療後、ブリッジや差し歯は作り替える場合が多いと思います。
Q.外科手術が必要な矯正があると聞いたのですが......
【前田眞琴ドクターからの回答】
重症の不正咬合に対して外科手術を併用する場合があります。著しい反対咬合や上顎前突(出っ歯)、下顎の横ずれ(顔面の歪み)を伴う不正咬合では、骨の中の歯の移動だけでは症状の改善ができない場合があります。歯を骨から外れるような位置に持っていくと、歯肉が退縮したり、歯に無理な力がかかることによって、長持ちしない歯になってしまうからです。
また、顔面の変形を治したい場合も含めて、歯の生えている土台の骨ごと外科的に移動する治療法が発達してきました。「顎変形症」という病名で、矯正治療も外科手術も健康保険が適用されます。ただし、保険での治療が可能な医療機関は、顎口腔機能診断施設基準を満たした医療機関に限られます。
Q.しばらく通院できなくても大丈夫ですか?
【前田眞琴ドクターからの回答】
通院できない期間によります。歯の移動中は、1~3ヶ月毎の調節や管理が必要ですが、移動を止めた状態であれば、しばらく通院できなくても、歯磨きをしっかりしておけば大丈夫です。
ただし、歯を抜いて治療している場合、隙間を空けたままの期間が長いと隙間の部分の骨が痩せて、その部分へ歯が動きにくくなります。また、力が出続けるNiTi系形状記憶合金ワイヤーを長期間入れたままにしておくと、予想以上に歯が動いてしまうこともありますので要注意です。
Q.治療中の痛みはどの程度ですか?
【下向保子ドクターからの回答】
矯正装置それ自体の違和感が痛みを伴う場合と、歯に矯正力をかけたときに感じる痛みがあります。痛みの感じ方の程度は個人差がありますが、前者は1~2ヶ月を要し、装置に慣れることによって解消でき、後者は動的治療の間は受診後3~5日程度感じることが繰り返されます。
最近はワイヤーやブラケットの進歩のおかげで歯にかかる力が穏やかになったこともあり、後者の痛みは以前より軽減されたと思います。
Q.装置が壊れたらどうすればいいのですか?
【下向保子ドクターからの回答】
できるだけ早く連絡をして、先生の指示に従ってください。
Q.矯正装置を着けたら、食べ物の制限はありますか?
【下向保子ドクターからの回答】
取り外し式の装置の場合は、食べる時は外すので制限はありません。
固定式の場合は装置が変形したり、壊れたりしますので、大きい物は小さく、厚い物は薄く、硬い物は柔らかくして、慣れるまでは用心して食べることが基本です。以下の食べ物は食べない方が良いといえます。
・硬くて大きい物・・・ステーキ、固焼きせんべい、りんご(丸ごと)など
・噛み切るにくい物・・・グミ、パンの耳、フランスパン、いか・たこなど
・粘着性のある物・・・キャラメル、ヌガー、柔らかいガム、おもちなど
Q.矯正装置を着けたままスポーツや楽器の演奏はできますか?
【下向保子ドクターからの回答】
相撲、柔道、ボクシング、レスリングなどの格闘技以外のスポーツならば問題ないといえます。矯正装置を着けての格闘技では、マウスピースが必要になります。
楽器については吹奏楽器が問題になりますが、木管楽器か金管楽器か、楽器が歯の移動方向に影響があるのか、表側にブラケットを着ける場合は吹くときに唇の痛みはないのか、矯正装置が音に影響することはないのか、など様々な問題がありますので、矯正歯科医や矯正治療をした楽器演奏者に相談などをしてください。
Q.治療後、元に戻ったりしませんか?
【下向保子ドクターからの回答】
矯正治療では、歯を動かす治療が終わると保定装置を着けて後戻りを防ぎます。保定期間は約3年ですが、指示された装着時間を守らないと後戻りしてしまいます。保定治療を終えた後でも、矯正治療をしなかった人にも起こる経年的な変化はあります。
過蓋咬合
正中離開
2012年6月17日 « トップへ » 2012年6月21日